突然ですが、vacation という単語、あなたなら、ヴェィケイションと発音しますか、それとも、ヴァケイションと発音しますか。
答えは、ここをクリックして下さい。
そうです。どちらも正しいのです。
vacation は、語源的には、vacant すなわち、空っぽ、という意味から来ています。
さて、15世紀〜19世紀のイギリスでは、多くの単語で、母音の音が徐々に変化していった Great Vowel Shift ~ 大母音推移 ~ だいぼいんすいい という現象が起こりました。
英語は、15世紀の中頃に活版印刷の技術が発達した事で、単語のスペリングは固定化されたのですが、その音の方は、変化を続けたのです。
この時期の母音の音の変化を一言で言うと、調音位置が徐々に高くなったと言えます。ちなみに、調音位置とは、息を吐き出して音を作る時の口の中の位置の事です。
前舌(front) | 中舌(central) | 後舌(back) | |
高舌(high) | i (I) ü | ɨ (ə) | ɯ u (U) |
中間(mid) | e (ɛ) ö | ɜ (ʌ) | o ɔ |
低舌(low) | æ | a (ɐ) | ɒ |
また、文明が高度化し、複雑な概念を素早く伝える為に、調音位置は、どんどん高くなったのかもしれません。
そして、イー、や、ウー、など、もうこれ以上は上に行けない音は、それぞれ、アイ、アウなどの2語に割れて二重母音化しました。
かつては、name もそのスペリング通り、ナーメと言っていたのが、この GVS によって、ネイムになったそうです。
こうして、スペリングと発音が、徐々に離れていった(≧∇≦)。
できれば、GVS の前まで、戻して欲しい。もっと時間がゆっくり流れていた、古き良き時代の発音に。そうすれば、単語の暗記がもっと楽になるのになぁ〜(^_^)。